コミュニケーションを上手にとるポイント

患者さんをよく理解するためには、コミュニケーションをとって信頼関係を築くことが大切です。患者さん一人ひとりの病状が違えば、それぞれの心境もまた違ってきます。患者さんの気持ちに寄り添い、しっかり話を聴くことが重要です。しかし、コミュニケーションはそう簡単にとれるものではありません。些細なことがきっかけで、一瞬にして信頼関係が崩れてしまうリスクもあるのです。

例えば、今まで明るく元気に過ごしてきた人が、病気にかかって落ち込んでしまったとしましょう。この場合は、頑張って、大丈夫などと励ますのはかえって逆効果です。本人は十分頑張っているうえ、大丈夫という言葉だけで病気が治るわけでもありません。ここでのポイントは、患者さんの気持ちを尊重することです。病気に対して後ろ向きで、生きる希望を失っていても、頭から否定してはいけません。患者さんの気持ちを受け入れ、どんな言葉なら本人が軽くなるかを見極めるのです。また、患者さんがコミュニケーションを拒絶した場合は、早めに切り上げましょう。

一方で、病気になったことで自分の体を労る気持ちが湧き、前向きになる人もいます。このとき、無理して明るく振る舞っているのではないかと心配する必要はありません。本人は病気を受け入れて次のステージへ向かおうとしているのに、下手に干渉すればその意欲がなくなる恐れがあります。こうした患者さんとコミュニケーションをとる場合は、本人の気持ちを応援し、空回りしていないかよく観察しましょう。張り切りすぎているなら、休息を促します。